(注)DT男1から読んでください
ついに告白当日。
軽い二日酔いを感じながら目覚めると秋の清々しい風が部屋に舞い込んできた。
意識は朦朧としているが、なぜか心地よいそんな朝であった。
隣でまだ寝ている真性DT森田もまだすやすや眠っている。
そんな心地よい朝を台無しにするのはいつもこのダーティー二人。
和姦、青姦、強姦という三姦王バージョン2について話をする遠藤さんと江藤である。
「俺は二姦だよ。強姦はないべ。スーフリの和田さんじゃないんだから。江藤はやっぱ三姦か。やるな~」
「いやいや遠藤さん、俺二姦ですよ。」
「うそつけ!!」
「和姦がありません。こっちが了解してないですもん。」
全くもってこの二人の会話は意味がわからない。
同じ日本人として同カテゴリーに分類されることに憤りを感じた・・・。
昨日はアメフトの試合があり、その後湘南台の甘太郎で飲み会をした。
そして酔っ払いのまま江藤の家に雪崩れ込み、前夜祭をすることになった。
ダーティー二人とディーティー二人。
一億総中流階級と言われる日本であるが、確実に階層分化が広がっている。
これはグローバル化の影響ではなく、資本主義うんぬんも関係なくすべては女に拠るところ。
いつもの癖で酔って女の子に電話した。
いつも僕の恋愛相談にのってくれる子である。
遠藤さんと江藤にも少しだけ電話を渡した。
遠藤さんは普通に話をしていたが、江藤に渡した瞬間、この男が発した言葉は
「めんどくせーからSEXしない??」
であった。
ネタとはいえ顔も全く知らない女に、いきなりこの言葉を発せれるのは江藤先生ならではであった。
今日の僕の授業は2限だけであった。
九時過ぎにダーティー二人は
「あーこの部屋、童貞臭がすごくなるな。帰ったらバルサンたかなきゃな。」
と僕と森田をゴキブリ扱いして家をあとにした。
二人が去った後、僕は布団の中で一人色々と考えた。
大学に入ってからコスプレを好きになってからの日々、高校時代に叶わなかった片思い、中学校時代に好きだった子、小学校時代に・・・。
今までの恋愛がぐるぐると頭の中で回っていた。
胸がしめつけられそうになる思い出の記憶だ。
せつない・・・。
ため息とともになんだか泣けてきた。
テンションを上げるために
僕はコスプレの笑顔を思い浮かべることにした。
「けんちゃんゴミついてるよ」 僕の髪の毛についていたゴミを取ってくれた君。
「けんちゃんは誰か好きな人いるの??」 人の気も知らずニコニコしながら聞いてくる君。
「けんちゃん、もっと早く言ってよね!!」 ご飯を食べにいって君の口元にくっ付いた一粒の米粒。
「けんちゃん、好きだよ」 単なる僕の妄想の君。
なんだか心が軽くなり、一人微笑んだ。
「林さん、何にやけているんですか!!気持ち悪い!!」
森田が起きていた・・・。
「うるせー!!」
照れ隠しで森田に腕十字固めをした。
すると森田は
「ギブ、ギブ、ギブ」
と言った後、すくっと立ち上がり
「鳥肌たった。今日は決めて来い。お前は男だ!!」
とプライドに出てくる高田の真似をした。 (森田はモノマネ芸人並みに芸をする男です。)
くだらないショートコントをしてから学校にいった。
芝生の緑が目に入る。
鴨池で楽しそうに昼飯を食べるカップルの姿が目に入る。
おそらく7割5分は童貞であろうSFCの男の姿も目に入る。
教授のくだらない話を聞き流し、授業を終えた。
コスプレとの約束は6時から。
しばらく時間があるので僕は江藤の家に再び戻り時間を潰すことにした。
江藤は音楽を聴きながらノリノリで、バルサンと雑誌が入ったコンビニの袋をぶら下げて帰ってきた。
雑誌を徐にペラペラめくると「今日の占い」のページがあった。
ラッキーカラー 「赤」
ラッキーアイテム 「赤いスリッパ」
たまたま江藤の家にあった赤いスリッパを履きさらに時間を潰す。
「赤いもので身につけていける物何かない??」
「林さん、そういうベタベタなことするからいつまでたってもDTなんですよ」
とは言うものの、江藤は快く赤いリストバンドを貸してくれた。
ホワイトバンド(難民支援の募金目的のもの)を身につけている人を街中でよくみかけるが、レッドバンドはなかなかいない。
ホワイトバンドは実のところ、金はほとんど送られておらず送られている金は10円にも満たないという。
多くが団体運営費として使われているらしい。というか個人の懐に入っているのだろう。
遠藤さんはしばしば、単なる偽善であり、宗教じみてて気持ち悪いと言ってNGO,NPOを批判する人であるが、
この話と「NPOで儲ける方法」という意味不明なタイトルの本を本屋で見た時、僕もそう思った。
時代は白ではなく赤なのである。
赤で想起されるイメージ
共産党、毛沢東語録、レッドパージ(赤狩り)、処女キラー江藤の返り血・・・。
ろくなもんがない。
しかし、今日は「断固桜木」「断固赤」なのである。
「安西先生、バスケが、バスケがしたいです・・・。」
「江藤先生、大さん橋、大さん橋に行きたいのです・・・。」
ミッチーと僕の悲痛な叫びが江藤宅にこだまする。
僕は15分前に待ち合わせ場所である湘南台駅に着いた。
バスから降りる人の中から君を探す。
一台見送った後の二台目のバスから君は降りてきた。
僕は服の上から片手でブラジャーが外せない時ぐらいドキドキした。
実はフロントホックだったというオチつきだ。
そんなことはしたことないが・・・。
まず大さん橋に行かなければ話にならない。
「どこでご飯食べよっか?」
「今日は横浜に行かない?」
「えっ横浜!? けんちゃんと横浜か。 いいよ。」
「キター!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
と電車男のように心の中で叫ぶ。
湘南台から市営地下鉄に乗り、関内駅で降りる。
関内駅から大さん橋までは歩くと少し遠い。
しかし、道順は一昨日遠藤さんにばっちり教えてもらったので大丈夫だ。
僕は昨日の試合で筋肉痛なので、歩くのは正直しんどい。コスプレもヒールを履いているため歩くのはあまり好きではないようだ。
タクシーに乗ることも考えたが、行く途中に「かおり」というレーズンサンドの店があるのをあらかじめ知っていた。
そこで「あっかおりだ」というために歩くことにした。
(コスプレの名前はかおりといいます)
横浜スタジアムを左手に見てしばらく歩くと店が見えてきた。
しらじらしく僕は言う。
「あっかおりだ。同じ名前じゃん。あそこのレーズンサンド好きなんだだよね。」
「私は違う店の方が好きだな~。」
僕の第一の作戦は失敗した・・・。
不穏な空気がたちこめる。
大さん橋まで行く途中、僕らはお互い口数が少なかった。
僕は僕の想いを。
君は君の想いを。
想いを心内に秘めたまま足は向かうべき方向へゆっくり進む。
行き交う人々は駅に向かって足早に進む。
その駅に吸い寄せられるように進む人たちを見て、僕は少し怖くなり歩みを止めようかと思った。
しかし、もう後には戻れない。
進むしかないんだ。
これからどんな展開が待ち受けているのだろう。
不安と緊張が襲ってきた。
張り詰めた空気の中、大さん橋が見えてきた。
板張りの坂を一歩づつ登る。
視界が開けた瞬間、右手にはベイブリッジ、左手には赤レンガ、観覧車、ランドマークタワーが現れる。
「すごーい。夜景、超きれいだね。私夜景大好きなんだ!!」
「きれいでしょ。」
「何でけんちゃんこんなとこ知ってんの??」
「まーね」
僕の第二の作戦というかメインの作戦は成功した。
コスプレの喜ぶ姿をみて僕は思った。
本当にここに来てよかったと。
今日は平日の夜ということもあり、人影はまばらである。
一昨日来た時は、土曜日の夕方でだったので、子供連れも多く騒がしかった。
手を繋ぐ人、肩を組む人、抱き合う人、キスをする人
景色は一変していた。
そこには人々の恋愛の姿がはっきりと形になり現れていた。
水面は穏やかに揺れ、みなとみらいの光をやさしく映していた。
ベンチに座り夜景を見ながらしばし他愛のない会話をする。
会話が続かなくなりしばらくの沈黙が僕らを覆った。
君との思い出が走馬灯のようにかけめぐる。
今までの二人の関係が崩れることを恐れた。
息がつまりそうになった。
時間が止まって欲しいと思った。
少し肌寒い潮風に吹かれながら僕は、ついに言葉を口にした。
「俺はかおりが好きだから。付き合ってくれ」
長かった。
半年間心に秘めた想いはついに言葉となった。
やさしい潮風につつまれ、僕の想いはついに君へと届いた。
うつむく君。
沈黙が再び続いた。
そして
「私、けんたろうのことは好きだよ。」
「でもね、友達としてしか見れなくて、恋愛対象ではないんだよね・・・。」
もう一度僕は聞く
「俺は大好きなんだよ。どうしてもだめなの?」
「ごめん・・・。」
その後、彼女は色々と過去の恋愛話をした。
全く聞く気になれなかった。
風が冷たかった
「自分が本当に好きではない人とは付き合わない」
この言葉だけが僕に残った
大さん橋を後にし遠藤さんに教わったサンアロハという店に行く。
そこで食事をした。
「何でこんなおしゃれな店を知ってんの?」
と言われた。
僕はすべてを話した。
ちゃんと下調べをしたこと、遠藤さんがブログで書いていること。
その店には
「記念日にどうぞ」
と書かれたプリクラが置いてあった。
記念日か・・・
悲しかった
切なかった
泣きたかった
店をでて、駅に向かい暗い夜道を歩く
僕は遠くを見ながら足を進めた
関内駅から電車に乗り、横浜で別れた
「じゃあね・・・。」
駅でいう君の言葉で
僕はその場に立ち尽くした
山手線が不通になっていたためか、今日の横浜駅は人が多い。
僕は止まる
人は流れる
僕の時間は止まる
人の時間は流れる
遠藤さんに電話をした
今日の出来事を一通り告げ
「今から飲みません??」
と言った。
「バカヤロー!!皆お前の結果を待ってんだよ。偽小説家として今日中に物語を完成しなきゃいけないんだよ。」
「じゃー今度合コン誘ってくださいね。」
「おうよ。まー次だ次。元気だせよ。」
電話を切った
「合コン誘ってください」
なんだか言い訳がせつなくて僕は眼をつぶった
人なんて簡単に好きになれるものではない
でも僕はよかった
人をこんなに好きになれた
想いを告げられた
僕は一歩一歩
前に向かって歩きだした
時間は再び流れ始めていた
あとがき
人間は進歩したと人はいう。なんでも手に入るこの世の中。確かに便利になり、裕福になった。
しかし、人間それ自体、本質の部分は何も変わっていないような気がする。
古今東西、恋愛の歌、詩、小説が歌われたり読まれたりしているのがいい証拠だ。
人を好きになり恋をする。これは本質部分である。。
本質の部分は地域、時代を超えて共感しうる。そして、恋愛とは人を成長させていくものだと僕は思う。
この文章を読んで林はどう映っただろうか?
想いを打ち明けられず日々悩む。バカな妄想をする。こんなはたから見ればダサい格好に僕は林の人間性が見てとれた。
人間などはダサくていい。泥臭く、バカなところに人間味がある。
なかなか体裁にこだわり素を出せない人がいるが、林のように素をだしていくべきであろう。
チキンでなかなか告白できない人を少しでも後押しできたら、僕としては本望だ。
皆いい恋しろよー!!自分の恋愛は全くダメであるが・・・。
2005年11月8日
色々と過去の恋愛を想い出したりしながら、最終話は4時間かかってしまった・・・。